2月21日(木)メディアタイムズにリカ役で芦田愛菜が出演。今回は2018年度第19回「どうやって作られる?イメージ」。

◆吹き替えによってイメージが作られる?
「はじめまして、リカです。よろしくお願いします」。「かたすぎるよ。もっとリラックスして」。リカのクラスに今度アメリカからの留学生が来るため、リカは話しかける練習をしているようだ。相手はアメリカ人だから、もっと明るく声も大きく!と後藤さんがアドバイスする。「みんながイメージしているアメリカ人って、ドラマの吹き替えそのままみたい」とキョウコさん。すると、「あ~確かに。アメリカの人って何か、『ハーイ』とか『オッケー』とか、明るくやり取りしてるイメージがある」とリカが話す。吹き替えによってイメージが作られてるってことか」とコーヘイ。「知り合いで映画とかの吹き替えを作る翻訳家がいるけど、取材してきたら?」と後藤さんが提案。「オーケイ。ボクニマカセテ」とコーヘイは言うのであった。

◆映像翻訳家を取材
・主人公の人がらを分析
今回取材したのは、映像翻訳家。外国の映画やテレビ番組を数多く日本語に翻訳してきた人だ。今回、映像翻訳家が翻訳するのは、釣り人のマイクが世界中を旅しながら珍しい魚を釣っていく、アメリカのドキュメンタリー番組『プロアングラーの世界釣り巡業!』という番組。翻訳する前に映像翻訳家は、主人公マイクの人柄を分析。「いかにもアメリカ人らしい、明るくて元気な人なんですけど、その反面、とった魚を川に返したり、心のやさしいところもあるんですよね」と映像翻訳家は話した。

・主人公のイメージが伝わるような一人称
翻訳で最初に大事なのは一人称を決めることである。一人称とは、話している人が自分自身をしめす言葉。英語の一人称は一種類しかなく、どんな人でも”I”を使用する。一方で日本語は、「ボク」、「オレ」、「ワシ」など様々な種類があり、翻訳す時にはその人のイメージに合ったものを選んでいく。映像翻訳家はマイクのイメージから「ボク」を使うことに決定。「ワーワーさけんでいるシーンがあったので、『オレ』かなとも思ったんですが、繊細なところもある方なので、『オレ』より『ボク』かなと」映像翻訳家は話した。

・口調や表現にもこだわる
マイクの口調にもこだわる映像翻訳家。「食べる」を「食う」、「小さい」を「ちっこい」と表現。気さくで楽しい人柄を出していく。さらにマイクらしさを表現するためにこだわったセリフ。それは、マイクが苦労の末に大物を釣り上げたときの、”Never give up!”というセリフだ。「ネバーギブアップ」とは「あきらめない」という意味である。最初は映像翻訳家も『絶対に諦めない』と訳していた。しかしマイクの親しみやすさがもっと出る表現はないかと考えた。それが、『あきらめちゃダメだ』。「見ている人たちにも語りかけている口調を出してあげるほうが、よりマイクさんに近い気がしました」と映像翻訳家は言った。

・吹き替え収録中も細かく修正
日本語吹き替えの収録日。演出家や技術スタッフとともに収録を進めていく。「今回はルイジアナ州ニューオリンズ…」。マイクの声を担当する声優の桑原敬一さん。「ニューオリンズは水路と深く結びついているんだ。商業も漁業も洪水もね…」(桑原さんの吹き替え)。すると、「『商業も漁業も洪水もね』って全部同じ言い方だったんですけど、洪水に関しては『面倒な、迷惑なものもね』っていう色がほしいかな」と映像翻訳家。収録中もセリフにこめた意図を伝え、細かい修正を行っていく。

・自分の受けたイメージをいかに伝えていくか
映像翻訳家がこだわっていた「ネバーギブアップ」は一体どうなったのか? 完成したのがコレだ。「うおー、あきらめるな!あきらめちゃダメだぁ!」。仕上がりに映像翻訳家も思わず「アハハハ」と笑っていた。イメージ通りにいったようだ。「いかに自分の受けたイメージで伝えていくかがすごく大事になると思うんです。ただ英語を日本語に訳すという事ではなくて、言葉づかいも細かくこだわらないと、イメージをうまく伝えることはできないと常に思うんですよね」と映像翻訳家。

◆吹き替えによってイメージが左右される
映画やドラマの吹き替えにはわかりやすくイメージを伝えるためのアイデアがつまってる。だが、吹き替えによって、演じている外国人に合ったイメージになる事もあれば、違ったイメージになる事もある。「これ見て」と後藤さんが、アメリカのトランプ氏がメキシコとの国境問題について演説している映像を見せる。1つ目の吹き替えは、『メキシコとの国境に壁を作ってやるぜ!』。もう一つは、『わたしはメキシコとの国境に壁を建設しようと思います』であった。「全然印象がちがう」と驚きを見せるリカ。

◆印象でも左右されるイメージ
「じゃあこれはどう?同じ友だちの写真なんだけど、印象がずいぶん違うでしょ」と今度は後藤さんが二つの写真を見せる。「仮に、彼が詐欺事件の犯人だとしたら、どっちの写真がふさわしい?」と聞かれ、リカとコーヘイが「こっち」と言いながら表情が暗いほうの写真を指差した。「明るいイメージの写真だと、見た人にこの人が犯人だってすぐに伝わらないんじゃないかな」とコーヘイ。「それは情報を伝える側の見方だね。リカは?」と後藤さんはリカに写真を見てどう感じたか聞く。「テレビとかで見る犯人の写真だったら、こっちの暗いイメージのほうがすんなり見られるなって」とリカ。「それは受け取る側の見方だよね」と後藤さん。

◆気をつけるべきは伝える側?受け取る側?
「二人とも、事件を起こしそうな人はこういう人ってイメージが定着してるのね。そういうの、『ステレオタイプ』って言うのよ」とキョウコさんが二人に向かって話す。後藤さんが「『ステレオタイプ』は、伝える側がわかりやすいイメージを持たせるには便利である一方、受け取る側が偏ったイメージを持つ原因になる事もある。」と。するとリカが「伝える側は、悪そうな顔のときだけじゃなくてやさしい表情の時もあるってことを伝えるべきなんじゃないかな」と言う。それに対し「それだと伝わりにくくなると思う。偏ったイメージを持たないように受け取る側が気をつければいいんじゃないか」とコーヘイ。「ステレオタイプについて気をつけるべきなのは伝える側?それとも受け取る側?」とキョウコさんに言われ、最後考え込むリカであった。

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